総務部の石田です。2020年3月M-Times Vol.9拙筆「なるようにニャる」で、夫の連れ猫「しまお」、私の連れ猫「ウメスケ」について書かせて頂いたのですが、実は「しまお」は、そのわずか数か月後に急逝してしまいました。奇しくも同年4月に発出されたコロナ緊急事態宣言により、当事務所では事務所使用を2名以下とする規制を設け、テレワークが推奨されましたので、在宅にて日々弱りゆくしまおの介護を存分に出来たのは、せめてもの慰めでした。
かくして同居猫はウメスケのみとなりましたが、実家にはまだ3匹の猫がおります。私の人生は猫とともにありました。全て元野良猫たちです。拾ったり押し付けられたり軒を貸して母屋を乗っ取られたり、出会いは色々。よほどの猫好きのように自分でも思いますが、実は・・・私、犬派なんです。(告白)
私は団塊Jr世代として、大阪東住吉のマンモス団地で幼少を過ごしました。昨今の少子化問題なぞ思いもよらず「人口爆発により食糧難で人類滅亡」などと喧伝されてた時代であり、巨大なあのコンクリート群は、今思い起こすと何かの巣のような・・・そんな密集地帯の狭小住宅で犬を飼うなど夢のまた夢。
ところがテレビでは「(新)名犬ラッシー」(1975年フジテレビ系)「炎の犬」(1981年日本テレビ系)などに幼心を撃ち抜かれ、ひとり空き地で空想のラッシーと再会する主人公を演じ、近所の悪タレに見られて大恥をかいたり。遠い存在の犬に憧れるあまり、裕福な一戸建て住宅街に飼われている洋犬たちと門越しに、飼い主さんの目を盗んで執拗に触れあっては、吠えられたり咬まれたり勝手に給食のパンやって叱られたり、ウンコ踏んで滑って転んで謝られたり。そんな私が、成人し一軒家に越してもなお、犬を諦めきっていた理由はただひとつ「うちには猫がいる」。”犬猿の仲”と申しますが、犬猫の相性の悪さは、人間ですら犬派猫派と分かれるくらいですから常識と疑いませんでした。
転機が訪れたのは、たまたまTwitterに流れてきたとあるWEB漫画です。題名はズバリ「犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい」(松本ひで吉著パルシィコミックス全7巻)歌って踊って陽気な「犬くん」と強面ツンデレの「猫さま」と暮らす愉快な日常エッセイです。ここに繰り広げられる理想郷とはよ。目からウロコとはよ。(Amazonで試し読み出来ますので動物好きな方はぜひともご一読あれ!)
「あれ?そうか、ウメスケならば、犬ともやっていけるのでは?」ウメスケは冒頭のM-Times内でも「空気読めない小僧」とコキおろしたド無神経な猫ですので、ここに一筋の光明が差し、新たなステージが幕開いたのでした。今までの猫偏重人生に悔いは無いが、死ぬまでには幼少の夢を叶えたい。私のラッシー(但し小型犬に限る:諸般の事情)を迎えたい。一大決心をしてから、まず夫を説得するのに、どれ程の大喧嘩を繰り返し、どのように手打ちをしたかは割愛。たぶん他所様からすると、ここいらが一番興味深い所と思いますが石田家の恥なので秘密♡
何とか夫の許可を得た私は、漫画と同じトイプードルの子犬を迎えました。名付けて「桃太郎」。ウメスケの「梅」との対比もありますが、「だっせ名前」と小ばかにしてきた無理解な夫とは違い、隣人の奥様は、子犬の披露がてらその名を伝えると「ああ、強い子に育ってほしいのね」と即応されました。さすが母たる人は想いを解って下さる。そして子供のいない高齢夫婦の元へやってくるのは桃に決まってるでしょ?
さて、夢の日々が始まるはずが、正直、真っ先に私のハートに突き刺さった感想は…銭ですわ銭。こんな勢いで飛んでくの!?もちろん血統書付きの子を迎える初期費用は覚悟の上ですが、今まで飼ってきた猫は元手が0円のうえ、飼育費用は1匹が2匹に増えたら2倍、3匹なら3倍、という単純な勘定でしたが、トイプー1匹で猫×5倍の体感です。やべえです。やべえと吐血しつつ子犬のためにありとあらゆるグッズを買い漁る私は、困難と長い時を乗り越えて確かに夢を掴んだ勝利者です。
桃太郎は現在8ヵ月、2.5キロ。6キロのウメスケ(決して肥満では無くただ手足胴の長いスリム巨体)に相撲を挑んでは、バチコ~ンとビンタされてキャイ~ンと泣いてます。犬と猫、夫と私の石田家のひたすら騒がしい毎日は、確かに“たのしい”です。ちなみに強硬に犬飼いを反対し、桃太郎の名をdisった夫は、私の留守に隠れて、「桃ちゃぁ~~ん♡」と猫撫で声でこっそり子犬を可愛がっていた動画を、先ごろ白状しながら見せてくれました。(写真がその動画のワンシーンです。笑)